益岡 想
慶應義塾大学経済学部卒のアメリカ在住12年間の帰国子女。
英語検定一級、TOEIC990点、TOEFLiBT 110点超え。TOEICは990点を一度だけでなく、3回連続で出している。数々の日本の英語検定系の試験を受けてきて、高得点を叩きだしてきた。
CASEC(キャセック)は、英検が基礎開発に携わるオンライン英語能力判定テストです。
TOEICや英検では正解した回数で採点されますが、CASECは視力検査のように解答の正解・不正解にあわせて問題が変化する方式を採用。
これにより、およそ40分〜50分という短時間で英語力を測定するのが特徴です。
ただ、まだまだ新しいテスト形式ということもあり、テスト形式や受験対策について疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
当記事では、CASECの仕組みを解説し、その上で受験対策について説明していきます。
Page Contents
CASECとは?
CASECはオンラインということを活かした、今までのペーパーテストにはない特徴を持ったテストです。
以下では、CASECの受験対策について解説する前に、CASECの独自性を解説いたします。
試験時間はおよそ40分!
CASECの最大の特徴はインターネット環境があればいつでも受験可能という点です。
場所も時間も選ばず好きなタイミングでいつでも受験し、実力チェックが可能。
採点がリアルタイムで行われるため、テスト終了次第すぐにスコアがわかります。
そして、試験時間の平均はおよそ40分〜50分とほかの英語技能試験と比べて圧倒的に短いのも特徴です。
独特の採点基準に注意!
CASECはまた、独自のスコア算出方法も特徴です。
従来のテストではテストのスコアは正解した数をもとに採点がなされ、正解した問題が多いほど高得点となりました。
一方、CASECのテストシステムは視力検査のような方式を採用。
正解不正解によって、その人が解けるぎりぎりの難易度に近づき、最終的にぎりぎりで解けるレベルをスコアとします。
TOEIC・英検・TOEFL目安表示
CASECでは、結果表示の際にTOEICや英検での目安を表示しています。
以下はCASECとTOEIC・英検のスコア関係を一部抜き出し表にしました。
CASEC | TOEIC | 英検 |
951~1000 | 990 | 1級(40%~60%合格) |
901~950 | 965~985 | 1級(20%~45%合格) 準1級(80%以上合格) |
701~750 | 725~810 | 2級(80%以上合格) |
601〜650 | 545~635 | 準2級(80%以上合格) |
501〜550 | 405~465 | 3級(80%以上合格) |
CASEC 語彙の知識問題の対策
問題形式 | 空所補充 |
解答形式 | 4肢択一 |
問題数 | 16問 |
配点 | 250点 |
解答時間 | 60秒 |
例題
Q1
A:Have you read this book,Michael?
B:Yes,it's interesting.You can( )it ifyou'd like.・show
・give
・keep
・catch
対策
コミュニケーションに不可欠な語彙の知識を測るのがセクション1です。
日常生活・学校生活・ビジネスのばなどに密着したシチュエーションの中で実際によく使われる、語彙の知識を測定します。
語彙の穴埋め問題。問われるのは語彙力になるので、単語対策などが必要です。
時間は60秒と多めに設定されているので、わからなくても消去法などで解答を求めていきましょう。
- TOEIC系の単語帳をこなす
- 初心者はまず大学受験用の単語帳をこなす
おすすめ対策本
TOEICの語彙対策のベストセラー本。
TOEICの頻出語彙ながら、汎用的な語彙が収録されており、新書ほどのサイズなので携帯しやすい一冊。
受験用英単語のベストセラー本。基本的な語彙が収録されている基礎学習の必読書。
CASEC 表現の知識問題の対策
問題形式 | 空所補充 |
解答形式 | 4肢択一 |
問題数 | 16問 |
配点 | 250点 |
解答時間 | 90秒 |
例題
Q1:
Two friens are studying.
David:Chris,did you finish the math homework?
Chris:Yeah,why?
David:I don't understand this question.Can you help me?
Chris:().Let me see.・Not at all
・No problem
・Never mind
・None of them
対策
セクション1同様穴埋め問題ですが、表現の知識などを問われる問題がセクション2です。
日常生活でよく使われる表現の知識及びその用法を測定します。
英語の重要表現などを勉強して対策する必要があります。
- 参考書を使ったロールプレイ
- フレーズ集をこなす
おすすめの対策本
中学レベルのフレーズを使って発話パターンを増やせる書籍。基礎学習に。
ベストセラーシリーズの熟語対策。受験用ですが、基本的な内容を網羅しており、これ1冊で広い範囲の対策が可能。
また、リスニング対策にも役立つと言われています。
同じく有名単語本。音読トレーニングとしても使え、受験から英検まで幅広く使える1冊。
CASEC リスニング問題と対策
問題形式 | リスニング |
解答形式 | 4肢択一 |
問題数 | 17問 |
配点 | 250点 |
解答時間 | 60秒 |
対策法
リスニングでの大意把握力をみるのがセクション3です。
音声が再生されて、その音声についての質問に答える問題。
再生後に選択肢が出るので問題からリスニング内容を予測するという定番技が通用しません。
会話やニュース・機内放送などを聞き、その内容の大意を理解する能力を測定します。
- 音読トレーニング
- シャドーイング
- ディクテーション
対策本
リスニングトレーニングの定番本。発音トレーニングからリスニング力を強化。
音読を通してリスニング力を向上させるトレーニング本。
CASEC ディクテーションと対策
問題形式 | リスニング |
解答形式 | ディクテーション |
問題数 | 11問 |
配点 | 250点 |
解答時間 | 120秒 |
対策法
具体情報の聞き取り能力を測るのがセクション4です。
聞き取った上でディクテーションする問題。
2回放送されますがキーボード入力で戸惑わないように注意が必要です。
会話などの多い情報の中から、コミュニケーションをはかる為の、または、内容理解のキーポイントとなる具体情報を聞き取る能力を測定します。
- 音読トレーニング
- シャドーイング
- ディクテーション
対策本
速読シリーズのベストセラー。単語本としても優秀ですが、実はリスニング本としても有名。
音読・シャドーイングを通し、一冊やり終える頃には飛躍的な向上が期待できます。
CASEC対策に役立つ単語本
CASECのセクション1で問われる単語やセクション2で問われる英会話表現を学べる参考書としておすすめしたいのは、英語学習参考書の定番と言われる2冊。
こちらの2冊はTOEIC対策、英検対策問わずかなり効果の高いものとなっており、最大の特徴はリスニング学習にも役に立つという点です。
速読英単語
収録されている単語は大学受験ならずとも必須となる基礎単語なので、1冊終えるだけで英検2級クラスの語彙力がつく1冊。
しかし真価は単語ではなく、シャドーイング・音読トレーニングにあります。
付属CDが「スロー」「ナチュラル」2種類の音源が収録されており、自分のレベルに合わせてトレーニング可能。
1冊真剣に音読・シャドーイングすることで、リーディング力とリスニング力を大幅に底上げすることができます。
キクタンのTOEIC対策シリーズ
キクタンは「音声を中心にして英単語を覚る」をコンセプトにした英語学習の定番シリーズ。
単語を学ぶパートと、実際にその単語が使用される例文パートで構成されます。
学習方法としては、まず単語の意味と発音をセットで覚え、その後、例文パートを暗唱。
発音を意識して、日本語訳の後に英文をとっさに言えるようになるまで練習しましょう。
CASEC対策におすすめの問題集
CASECには専用の対策問題集がありませんが、英検やTOEICでは頻出表現などが問われますので、こちらで高得点が獲得できればCASECでもハイスコアが期待できるでしょう。
特に英検は幅広いトピックで出題されるので、CASEC対策としておすすめ。
TOEICは公式問題集の解説のクオリティが高いので、本格的なトレーニングに着手する前に一度解いて解説を読み解くと効率的な学習なヒントになるでしょう。
公式TOEIC Listening & Reading 問題集 6
2020年2月発売のTOEIC公式教材最新版です。
テスト2回分(計400問)を収録しており、公式スピーカーによる音声CDや、特典として音声ダウンロードが可能です。
英検 過去6回全問題集
「英検 過去6回全問題集 (旺文社英検書)」は過去6回分の試験が収録されているの過去問題集シリーズ。
解説では解答のポイントだけではなく、基礎的な英語力をみにつけることもできるので、解いていくうちに自然と実力が上がっていくでしょう。
CASEC対策ポイント
CASECのスコアは英検とTOEICにそれぞれ換算可能となっており、CASECが初めての受験、あるいはCASEC以外が初めてでもある程度自分の実力を前もって把握することができます。
以下は主なCASECの換算表となります。TOEICとは体感的にもかなり近しいので、TOEICを受けたことがある人は大体自分のスコアがわかるかもしれません。
英検で換算すると、2級にあたる範囲が広いですが、CASEC600点から2級の合格が見えるラインです。
CASEC | TOEIC | 英検 |
900~1000 | 965~990 | 準1級 |
600~900 | 545~965 | 2級 |
400~600 | 315~545 | 3級 |
200~400 | 160~315 | 4級 |
さて、学習ですが、実はこの2つの試験の対策と基本的には変わりません。
出題を意識して学習すれば自然と対策ができますので、CASECだけを過度に対策するよりは、TOEICや英検を対策する気持ちで学習しましょう。
おすすめは幅広い英語知識と能力を問われる英検の試験対策。
その後、CASECのスコアが良ければTOEICも受験してみる、というのがおすすめです。
単語・文法の勉強法
中学校で習う単語数が約2,000語で、高校では約4,000語を習い、センター試験では約5,000語が必要であるといわれています。
CASECでは、スコアごとに以下の語彙数が要求されると言われています。
CASECスコア | 語彙数 |
900点以上 | 10,000 |
800点以上 | 8,500 |
700点以上 | 7,500 |
600点以上 | 5,000 |
500点以上 | 4,000 |
400点以上 | 3,500 |
対策方法はやはり単語帳で語彙を記憶していくことです。
おすすめは、大学受験レベルが不安な方はまず大学受験用の単語帳で、センター試験に必要とされる5000語を記憶します。
そのインプットが終わった後はTOEIC用、英検2級以上用の対策本で単語を勉強していきましょう。
リスニング勉強法
リスニングは対策していないとどれだけ英語の知識があっても成長することができません。
色々な参考書があると思いますが、勉強方法としては、シャドーイングと音読がおすすめです。
「口に出して発音する」というトレーニングをすることで効果的にリスニングスコアをあげることができます。
また、定期的に自分のリスニング力を把握する目的でディクテーションをするのもおすすめ。
ただし、ディクテーションはトレーニングの負荷が低いのでたまにで大丈夫です。
リーディング勉強法
CASECに長文問題は出題されません。
ただ、長文読解はある程度はできた方が英語学習において有利になるでしょう。
英文を読み進めるには、「英語を日本語に変換して理解する」のではなく、「英文のまま理解する」能力が必要となります。
英文のまま理解する能力を鍛える方法は音読です。
声に出して英文を読むことにより、翻訳というプロセスを挟まず英文のまま理解する感覚が鍛えられると言われています。
CASECの受験料は?
CASECの受験料は
料金:3,667円(税込)/ チケット1枚です。
個人の方が受験する場合の料金です。
受験1回につき、CASECチケット1枚をお求めください。
英検やTOEICの受講料と比較するとかなり値段が安いことがわかります。
受講料 | |
CASEC | 3,667円 |
TOEIC(L&R) | 6,490円 |
英検 | 1級 9,500円 準1級 7,600円 2級 6,500円 準2級 5,900円 3級 4,900円 |
CASEC対策に役立つアプリ
汎用性の高い英語学習におすすめしたいのが、リクルートが提供する英会話学習アプリ「スタディサプリENGLISH」。
シナリオ形式の教材などを題材にして、単語学習から発音、リスニング、読解までオールインワンで学習できる英会話プログラムです。
スマートフォンを始め、パソコンやタブレットなどで手軽に学習でき、シナリオ作成にドラマや有名ゲームを手がける脚本家が参加。
リクルートの専門チームが、日本人が英語学習で挫折するポイントを徹底分析して企画を行い、開発を行っており、需要に合わせた3つのプランを展開しています。
1つの会話劇を題材に、様々な角度から学習するのが特徴で、意味理解を始め、ディクテーション、発音、発話などをこなしていく設計が特徴。
また、会話劇では、日常英会話で用いる表現がふんだんに使用されています。
例えば、「観てきた映画について話すシーン」というごく短い会話劇の中に、「すっかり飽きてしまった(so used to)」、「気分転換に(for a change)」など知らないとわからない会話表現が頻出。
料金は月額1,980円ですが、6ヶ月パック、12ヶ月パックにはそれぞれ割引が適用されるほか、継続することでキャッシュバックが発生します。
プラン | 料金 |
1ヶ月 | 月額1,980円 |
6ヶ月パック | 通常一括払い10,680円 月額1,780円 -3000円キャッシュバックあり |
12ヶ月パック | 割引+キャッシュバック-12,000 年額11,760円 =月額980円 |
CASECではSPEAKINGとは
CASEC SPEAKINGは、英語初級者でも受けやすいスピーキングテストとして開発された技能試験。
多くの学習者がスピーキング初級者である日本の学習者にフォーカスし、細かくスピーキング力を測れるテストとして今注目を集めています。
- 初~中級者が受けやすい
- CEFR A1~A2の初級者レベル
- 細かくスピーキング力が測れる
- 20〜25分と短時間
- ウォームアップ1問+全6パート13問
出題構成
ウォームアップ1問+全6パート13問が出題されます。
スコアレポート
スコアは
1.スコア200点満点
2.CEFRCEFRをA1~B1で評価
3.レベルスコアから6段階で評価
4.言語のサブスキル発音、流暢さ、語彙、文法をそれぞれ3段階で評価
5.場面/機能別 運用力自分のことについて話す、社会的な場面でのやりとり、自分の意見を述べるをそれぞれ3段階で評価
この5つの基準で採点されます。
まとめ
オンラインのみで受講可能というCASECは、TOEICや英検につぐ新しい選択肢。
最近では新しい英語技能試験の1つとして注目を集めていて、大手企業をはじめ、大学など教育機関で導入が進んでいます。
特に2020年のコロナ禍以降では、オンラインテストの重要性はますます上がっていくのではないでしょうか?
当記事で解説した対策についてまとめると以下になります
- 独自のスコア方式を採用しており、正答率は重要ではない
- 簡単な問題をケアレスミスしない対策より英語理解を深める
- 早く解くよりも確実に解く
- 英検対策が有効
したがって、問題形式に慣れるより、まずは語彙の知識やリスニング力を地道に鍛えましょう。
おすすめは、以下の5つの参考書・問題集・アプリです。
- 速読英単語
- キクタンシリーズ
- TOEIC公式問題集
- 英検過去問
- スタディサプリENGLISH
まずは一度、CASECを実際に受験することをおすすめします。
その上で、マイページの自分の傾向から苦手を補うトレーニングを行いましょう。